駄文

「じゃあ学校辞めましょうか。」
母は言い放った。正直僕は焦った。確かに学校が辛い、友達ができないとこぼしていたのは僕だ。でも何もそこまでしてほしいなんて思ってはいなかった。
「学校が辛いんでしょう?お母さんもうあなたの泣き言毎日聞くの嫌なの。だからいっそ辞めて、フリースクール?かどこか行けばいいじやない。それで良いでしょう?」
いや、そういうことじゃない、と言いたかったけど、何も言えなかった。この人に反論しても逆上されるだけだと分かっていたからだ。
気まずい空気になった食卓を、急いで出された夕食を済ませ、僕は逃げるように離れた。
母はいつもこうだ。選択肢が極端すぎるのだ。例えば今問題になった学校なら、「行く」か「辞める」しかない。少しの間休む、とか、保健室登校の生徒になる、とかそんな考えはあの人の頭にはない。
僕が例えそういうことを言っても、あの人は「それは甘えだ」と切り捨てて、更に余計な罵詈雑言までついてきて、僕をボコボコに打ちのめすのだ。
明日は母はどんな仕上がりになっているだろう、と考えながら、僕は明日から夏休みだということに安堵しながら、布団にもぐりこんだ。
僕が寝ている間に、父さんがなんとか良い方向に持って行ってくれていることを祈って。
それは昨日と同じように、唐突に言い渡された
「蓮くん、夏休みの間ちょっとおばあちゃんの田舎の方へ行ってみましょうか」
僕は眠い目をこすりながら、何度もそれを頭の中で繰り返した。
昼まで寝ていてすっかりボケていた頭が、その言葉を完全に理解できたのは、頭の中で10回ほど今言われた言葉を繰り返した頃だった。
「え、えっと、それはつまりどういうこと……?」
震える声で僕は問い返した。
「どういうことも何も、言ったまんまの意味よ。夏休みの2週間ぐらい?1月行ってるとあなた遊び呆けて宿題やらないでしょうから…、おばあちゃんの田舎の方で、少し心を休めてみたら?こんな都会のごみごみした所にいるから心も荒むのよ、田舎ののんびりした人たちに囲まれれば少しは……」
話を聞いていて、心底母に失望していた。この人は何もわかっちゃいない、そんなに話もしたこともない田舎のおばあちゃんの家で?初めて会うような人たちに囲まれて? そんなの無理に決まってる……。
「じ、冗談じゃないよ」
「でもこれはお父さんが言い出したことなのよ、良いでしょう?私もあの人にしては悪くない意見だなと思うの」
父さんが?嘘だろ、状況を良くするどころか更に悪化させやがった。
「でもいいよ、そんなの」「もう決めたから。子供なんだから親の言うことには従いなさい」
「おばあちゃんにも話はつけてあるから。明後日には行ってもらうから、今日と明日のうちに荷物まとめておきなさい」「そんな………」
せっかく一人で楽しく過ごせる夏休みが、地獄に変わってしまった。昨日は寝るんじゃなかった、と僕は激しく後悔した。
「蓮くんいらっしゃい、何もないところだけど、楽しんでちょうだいね」
祖母の優しい声に出迎えられながら、僕はトランクを、今日から自分の部屋になるところに運んでいた。
「あの子が出て行ってからしばらく物置になってたから、少し埃っぽいかもしれないわ、大丈夫…?」「あ、えっと、はい、大丈夫です…」「それじゃあちょっと私は町内会のところに行ってくるわね、家の周りだったら外に出てもいいけど、何かあったら連絡してね…」「はい」
やっといなくなってくれたな… と思いながら、僕は荷物を開いた。
着替えと夏休みの宿題と、筆記用具やらゲームやら。我ながらこんな大きいバッグを借りておいて持ってきたのはこれだけか、と自分に呆れてしまった。
宿題もゲームもやる気がしないまま、30分ぐらいだろうか、部屋でボーっとしていた。
……どうせなら、少し外を散策でもしてみるか…。そう思い僕は家の外に出た。

都会からこれだけ離れるとやっぱり何もないな、と家の外に広がる田園風景を見ながら思った。家で惚けているときから蝉の声がやたら聞こえると思ったら、家の裏手に林があった。どうりでうるさいはずだ。
少し離れたところにある隣の家では、子供が今まさに集まったのか、今日は何して遊ぶ?とかいう相談をしているのが聞こえた。できるだけ人と会いたくなかったし、林の方を探索してみることにした。
「うわ………予想以上に林だ…」
あまりにもぼうぼうと茂った草や、上の方から聞こえてくる鳥の声などに思わずそんな意味不明な言葉が口をついて出た。
家の裏手にあるんだから、祖母とかは少しは手入れとかしないのか?さっきから足をくすぐる草はどんなものが生えているのかすら分かったもんじゃない。漆とか混じっていたら大変だ…、ていうかいくら田舎だっておかしいだろう、トトロぐらいいるんじゃないか…?
入るんじゃなかったなと後悔しながら、草や木を分け探索していると、蔦に覆われた壊れた鳥居のようなものを見つけた。その先には小さな祠もあった。これももれなく壊れていたが…。近くに白い縄のようなものがかかれたひときわ立派な木があるのを見ると、どうやら小さな神社が廃れたところだろうか。よく見ると祠の近くには、木がところどころ腐り落ちた賽銭箱があった。
これも何かの縁だろう、もう神様がいるのかどうかも怪しいが、賽銭ぐらい入れてやるかと
思いポケットを探ってみた。1円数枚ほどしか出てこなかった。
財布を持ってくるんだったか…と考えながら、賽銭箱にその端た金を突っ込んだ。そしてその場を立ち去ろうとした、その時だった。
「久しぶりの来客かと思えば、たったのこれだけの金を払って立ち去ろうとするとは!」
驚いて振り向いたが、何もいなかった。気のせいか…?と思いもう一度立ち去ろうとすると、今度はさっきよりも大きな声が聞こえてきた。
「おい、お前、わたしに捧げるものはこれだけかと言うておるのじゃ!」
気がつくと、目の前に妙な格好をした女の子が立っていた。巫女さんのような服に、引きずるほど長い黒髪。狐のような耳も生えている。
「全く、わたしの住処をこんなになるまで放っておいたと思えば…人間というのはつくづく勝手な生き物じゃな!」
「………えっと…きみは…」
このまま素通りしたらまた怒られそうなので、一応聞き返してみた。すると彼女は、
「わたしはこの神社に棲む神じゃ!この神々しい見た目を見てもわからぬとは、本当に愚かな子じゃな。」
………ちょっと電波な子なのかな…?

気力が尽きたので途中で投げました

  • 最終更新:2017-03-13 00:07:32

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