第六章「静寂」

ーその日の夜。自室にて、俺は自分の力の無さを痛感していた。


ユウヤ「……彼奴が……あの女がッ!2人でかかっても勝てない、そんなやつをどうしろと……クソッ!俺は…彼奴のせいで…俺が無力なせいで…クリストファーは…」


こういう事が起きるのは覚悟していた…でも、矢張り隊員を自分のせいで喪うのは辛い。想像していた、何倍も…
怒りがやり切れなさを産む、やり切れなさが惨めさを産む、そして惨めさがどうしようも無い怒りを産む。
産まれた怒りを壁にぶつける。渾身の力を込めて壁を殴った。鈍い音が部屋中に響く。少し、手が痛む。
軽く自室のドアを叩く音がした。隣の部屋からの苦情だろうか


ユウヤ「…誰だ?」

「ユイです。隊長、よろしいですか?」

ユウヤ「ああ…入れ」


隣の部屋から苦情の連絡でも来たのだろうか


ユイ「……失礼します」

ユウヤ「何の用だ?どうでも良い事なら帰ってくれないか…疲れているんだ」

ユイ「……隊長、どうしたんですか?手が少し赤いですよ」

ユウヤ「……お前には関係無い。帰ってくれないか?」

ユイ「……」


部屋を静寂が包む。部屋の外から笑い声が聞こえた。俺を嘲笑っているかの様で憎たらしい


ユウヤ「……帰るつもりは無い様だな。まあいい…ここから先は独り言だ。聞き流してくれよ」

ユイ「……」

ユウヤ「……始めての敗北だった。パイロットとしてでは無くて、隊長としてのな。悔しい…悔しいんだ、とてつも無く。三ツ矢サイダーをがぶ飲みしたい気分だ。あの判断が間違っていないのは解っている、でも、矢張り助けたかった。俺が変わりに戦えば助けれたのかもしれない…でも、俺は矢っ張り自分を捨てきれない」

ユイ「隊長。その考えは、悩みはとても人間的で素晴らしいと思います。部下の立場からで、失礼かもしれませんが、隊長には『自らを捨て、全てを助く』英雄という皮を被った盲目な怪物にはなって欲しくはありません。どうぞ、人間らしく悩んでください、苦しんでください。そして、その苦しみを糧にもっと強くなりましょう。」


ユイが俺を抱き締めた。暖かい体温を感じる


ユウヤ「……おいおい、何独り言に反応してるんだ?すまないが、一人で居たい気分だから独りにしてくれないか?」

ユイ「…解りました。それではまた明日…」

ユウヤ「あぁ!それとな……」

ユイ「?」

ユウヤ「あぁー…感謝している。有難う」

ユイ「ふふっどういたしまして」


ユイが扉を閉め、帰って行った。同時に涙が流れた…どうしようもないやり切れなさを感じる。部下に論され、泣くなんてな…
夜は深まって行く。



  • 最終更新:2014-07-27 17:26:45

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