前章・始まりの始まり

20XX年 4月1日 

桜の花が、宙を舞う。

辺り一面には桜の木が整然と並べられており、そこから大量の桜の花が、この常日高校の正門前を美しく彩っている。
その桜はまるでこの式典を祝う紙吹雪のように、絶えずその場を舞い続ける。
そしてその中を、汚れ一つ無いピカピカの制服を着たこの高校の生徒たちが闊歩していた。

そう、今日はこの常日高校の入学式なのである。

この常日高校は10年ほど前に創設された割と新しい学校で、校舎もまだ汚れが殆ど無く綺麗な状態を保っている。
偏差値もそこそこで、ここから上位の大学を目指すということもおかしくはない。
外見がやんちゃな生徒も、成績は悪くなく、これまでも特に問題が起きずに今に至るのである。
そして今日、400人の少年少女が、晴れてこの学校の生徒となるのだ。
彼、及び彼女らはそれぞれ思い思いに入学式の会場である体育館へと向かう。

或いは、これから始まる新生活に思いを抱きながら―――
或いは、中学時代の友達と談話しながら―――
或いは、恋人を求める女子がいい男を探しながら―――
或いは、既に中学の時点で出来た恋人と並びながら―――
或いは、早く家に帰りたいと気怠げな面持ちで思いながら―――
或いは、不良が自らの存在感を威圧感を放ちアピールさせながら―――
或いは、そんな不良に恐れをなしながら―――

そして、殆どの生徒は新しい環境、新しい場所に少なからず緊張し、しかしどことなく生き生きとした表情をしていた。
これからの人生の道筋が大きく決まってくるであろうこの場所で、誰もがこれからの生活に思いを馳せていた。

しかし、そんな場所を客観的に見てみれば、一つの特異点が浮かび上がる。

そう、或いは、

この状況に何の感慨も抱かず、ただ無表情で会場に足を運ばせながら―――


  • 最終更新:2015-04-16 19:44:51

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