あははの日常

12月7日(金)


 部活での出来事。
 
 いつものように音楽準備室で基礎練習をしていると、あんみつが背後からキックをかましてきた。
 
 「・・・・・・。」


 振り返ると、あんみつがいつものいい笑顔で仁王立ちになっていた。
 
 まぁ、これは吹奏楽部の日常茶飯事だ。


 「やあ!」


 華麗にキックを決めたあんみつはレモン顔負けの爽やかな笑顔で言った。
 
 笑顔使うところ間違っているだろと思うくらいの笑みだった。
 
 「やあ。」


 いつもどおりに挨拶を返す。


 わたしが軽くMになってしまったのは、この友人のせいではないかと思う。


 Sになろうにもなれないではないか。


 「ところであんみつは・・・・・・。」


 喧嘩を売ってやろうかと思ったが、明らかに勝率は皆無なのでここはあえて我慢する。


 「なに?」


 あんみつは首をかしげた。


 「いや・・・・・・なんでもないよ。」


 ごまかそうとしたが、あんみつは怪訝そうな顔をして近づいてきた。


 「何?」


 「えぇ~?何のこと~?」


 さらにおどけた。


 するとあんみつは、あのいい笑顔でさらに近づいてきた。


 あの笑顔は、絶対に何か企んでいる。


 こ、怖い・・・・・・。


 「言ってみ?」


 あんみつは着実に距離を縮めてくる。


 まずい、逃げられない。


 「えっと~・・・・・・。」


 ここは答えに困るような質問をして反応を見るか。


 「あんみつはトランクス派?それともボクサー派?」


 うわぁ、我ながら類を見ない最低な質問だぁ・・・・・・。


 「は?」


 あんみつは一瞬だけ止まった。


 と思いきや、



 ガンッ


 
 すねに強烈な痛みが走った。


 「いたぁぁぁっ!!」


 思わずかがんですねを抱え込んでしまった。


 上を仰ぐと、あんみつが笑顔で見下ろしていた。


 「殺すよ?」


 「・・・・・・。」


 声と台詞のギャップが大きすぎて、その効果は絶大だった。


 さすがあんみつ。ドSの姫。


 私ごときでは到底、敵いそうにない。


 今この状況を改めて観察してみると、私が片方の足を抱えて立膝をしていて、あんみつがその前に立っているという構図だった。


 
 完全に姫と召使じゃないか。


 
 でもまぁ、こんな状況はたまにしかないので少し面白くしてしまおうと思った。


 「あんみつ姫!!」


 召使さながら、立膝をして出来る限りのキメ顔をつくり、仁王立ちしているあんみつに言った。


 「!?」


 あんみつはびっくりして仰け反ってしまった。


 予想していなかったことが起こったときはこういうリアクションをとるんだなぁとなんとなく感心した。


 にやにやしていると、


 「踏みつけてあげようか?」


 あんみつの声が上から降ってきた。


 切り替えが早すぎるぞあんみつ。


 「いやいや、結構ですっ。」


 本当に踏みつけられそうだったので慌てて立ち上がる。


 危ない危ない。


 この友人は手加減というものを知らない。


 知っていたとしても私には加減しない。


 
 
 良い関係を築くには多少の緊張感が大事だというが、このことなのだろうか・・・・・・?





  • 最終更新:2012-12-08 16:21:37

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